SDGsってなに?
17のゴールって?
企業がSDGsに取り組むメリットはあるの?
こんな疑問を解消します。
昨今、何かと話題のSDGs。
社会貢献的な文脈であることはなんとなく分かるけど、具体的にどんなものか知らないという人も多いはず。
この記事では、
- SDGsとは
- SDGsの17のゴール
- SDGsを企業が取り組むメリット
- SDGsに関するおすすめの書籍
を簡単に分かりやすく説明し、SDGsとそれを取り巻く企業の状況をざっくりとお伝えします。
SDGsに興味がある社会人の方は必見の内容です。
SDGsを1分で読める分量で超簡単にわかりやすくまとめている記事もあるので、
そちらを先にご覧いただくことをおすすめします。
▶SDGsとは?わかりやすく簡単にQ&A方式で説明【1分で読める】
筆者はSDGs関連のベンチャー企業にプロボノとして設立・会計・税務の支援を行っている公認会計士です。
SDGsとは
「SDGs」とは世界中のみんなで決めたこれからの未来に対する目標のことです。
SDGsが生まれたのは2015年9月、ニューヨークで開かれた国連サミット。
「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(仮訳)」という名で、
2030年の未来に向けた17のゴール・169のターゲットとしてまとめられ、世界中の193の国と地域によって採択(=約束)されました。
「SDGs」ってどういう意味?
SDGsは、Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標) の頭文字をとったものです。
「持続可能な開発目標」という直訳が分かりづらさを生んでいますが、
「持続可能は開発」は将来世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たす開発と定義されており、
これから生まれてくる子供たちに残したい素敵な世界にするための開発という風に考えると分かりやすいです。
世界で起こっている様々な出来事の中で、子供たちのために変えていってあげたい課題がありますよね。
そんな課題をまとめたものがSDGsだと理解してください。
SDGsの17のゴール
SDGsの17のゴール(目標)は以下のように定義されています。
かっこ書きの中は外務省による要約です。
- あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる(貧困をなくそう)
- 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する(飢餓をゼロに)
- あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する(すべての人に健康と福祉を)
- すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する(質の高い教育をみんなに)
- ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う(ジェンダー平等を実現しよう)
- すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する(安全な水とトイレを世界中に)
- すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する(エネルギーをみんなに、そしてクリーンに)
- 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する(働きがいも経済成長も)
- 強靱(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る (産業と技術革新の基盤をつくろう)
- 各国内及び各国間の不平等を是正する(人や国の平等をなくそう)
- 包摂的で安全かつ強靱(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する(住み続けられるまちづくりを)
- 持続可能な生産消費形態を確保する(つくる責任つかう責任)
- 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる(気候変動に具体的な対策を)
- 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する(海の豊かさを守ろう)
- 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する(陸の豊かさも守ろう)
- 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法への アクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する(平和と公正をすべての人に)
- 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する(パートナーシップで目標を達成しよう)
見ていただければ分かる通り、「社会問題」と言われて思いつくものはほとんど含まれています。
それぞれの目標は独立しているものではなく、統合さている不可分なものとして取り扱われています。
SDGsの中にはLGBTや武器開発は含まれていません。
これは、この2つを含めてしまうと採択されない国が多いから。
例えば軍事産業が盛んなアメリカは武器開発を含むと採択しないので、
みんなが採択してくれそうな問題のみが17のゴールになっています。
SDGsの17のゴールの中で重要性のあるものや優先順位の高いものはあるの?
17のゴールは統合され不可分ですが、
たとえば我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための 2030 アジェンダの前文では以下のように語られており、貧困が最も重要であるとされています。
前文
我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ
このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である。これはまた、より大 きな自由における普遍的な平和の強化を追求ものでもある。我々は、極端な貧困を含む、あらゆる形態と側面の貧困を撲滅することが最大の地球規模の課題であり、持続可能な開発のための不可欠な必要条件であると認識する。
また、ゴール17番のパートナーシップは「実行手段」とされており、これなしでは他のゴールは達成できないとする考え方もありますし、
時間的な制約の観点から、環境問題が最も優先順位が高いという実務家も多いです。
SDGsの17のゴールの中で盛り上がっているものはどれ?
SDGsをはじめとする世界課題について話し合うため、世界の次世代リーダーたちが集結するOne Young World(通称:ヤングダボス会議)。
何人かの知り合いがこれに参加しているので最近の情勢を聞いたところ、昨今は5番のジェンダー平等と、13~15番の環境系の課題を語るリーダーが多いそうです。
SDGsを企業が取り組むメリット
SDGsを企業が取り組むメリットについてお話していきます。
なぜ企業がSDGsに取り組んでいるの?
最近SDGsという言葉がみなさんの耳によく入るようになったのは、2017年11月、経団連(日本経済団体連合会)が企業行動憲章(実践するべき項目として提唱している倫理規定 )を
「企業行動憲章の改定にあたって~Society 5.0の実現を通じたSDGs(持続可能な開発目標)の達成~」
と、わざわざタイトルにSDGsを含んで改定を行ったことがキッカケです(⇒企業行動憲章を見る)。
ここで完全に潮流が変わりました。
国連が採択したものであるということもあり、それまでなんとなく
SDGsって
政府・NGO・NPOが取り組むもんでしょ?
というイメージがありました。
しかし、日本の超大手企業たちで構成され、経済界で最も力のある経団連が自らSDGsに取り組むことを宣言したため、
SDGsって…民間企業が取り組むべきものなんだ!
と、一気にみなさんの生活に近づいたというわけです。
企業がSDGsに取り組むメリットはあるの?
SDGs関係のシンポジウムやイベントで必ず話題になるのがこの、
会社がSDGsに取り組むメリットってあるの?
という議論。
社会貢献=ボランティアというイメージがあるせいか、社会貢献的なニュアンスを含むSDGsを実践することが、なぜ会社の利益(お金的なものも含めて)になるのか理解できない人が多いようです。
結論からいうと、会社がSDGsに取り組むことには間違いなくメリットがあります。
逆に言うと、SDGsに取り組まないことがデメリットがあるという方が正確かもしれません。
ESG投資(SDGsに取り組んでいない企業にはお金が集まらない)
ESG投資とは、
環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮している企業を重視・選別して行う投資方法で、簡単にいえば
社会貢献している会社に投資しよう!
という考え方です。
兼ねてから日本企業の社会貢献割合は海外の企業に比べて低いことが問題視されており、
日本企業は社会貢献してないし…
別の国の企業に投資しよっ!
と、海外のお金持ち投資家からの投資を募れていない実情があります。
ESG投資以外にも事業上で企業がSDGsに取り組むメリットがある
企業が利益を追求することと社会貢献することはトレードオフではない。
つまり、両立可能といわれています。
例えば2020年7月から国内のすべての店を対象に実施されるレジ袋の有料化。
レジ袋の使用が減少することで環境が良くなる一方、今まで無料だったレジ袋を有料にできるためコストは削減さるため、利益追求と社会貢献が両立されている状況といえます。
社会貢献を優先=利益が増えるという式を成立させることが可能であり、事業上の利益追求の観点からもSDGsに取り組むメリットがあるということです。
SDGsに関するおすすめの書籍
実際に私が読んだSDGsに関する書籍のうち、おすすめのものを2つ紹介します。
気楽にSDGsを知りたければこちらがおすすめです。
もう少し踏み込んで理解したい人はこちらの方がおすすめです。
どちらもSDGs検定という資格試験の参考図書に指定されており、SDGsを広く理解する上で有益な書籍です。
SDGs検定という資格試験ついては気になる方はこちらの記事も見てみてください。
メリットを理解してSDGsに取り組もう!
いかがだったでしょうか。
限定的な視点ではありましたが、SDGsの基礎的な部分はご理解いただけたかと思います。
間違いなくこれからの社会で世界のルールとして機能していくものですので、これを機に興味をもってみてください。
それでは!