簿記3級と2級の違いが知りたい!
どちらから受ければ良いんだろう?
こんな疑問を解消します。
結論、両者の違いは基本的に難易度のみで、
最終的に簿記2級まで必要な人はいきなり2級から受験もアリです。
就職活動を控えた大学生や
転職したい社会人に人気の日商簿記3級と2級。
3級と2級は何が違うのか、
どちらから受験すべきか分からないですよね。
そこで本記事では、会計のプロで簿記1,2,3級をもつ筆者が簿記3級と2級の主な違いや、
受験の順番を解説します。
- 簿記3級と2級の違い
- 簿記3級と2級、どちらから受験すべきか
本記事を読めばあなたが簿記3級と2級のどちらから受験すべきか分かります。
これから簿記を受験しようと思っている方は必見の内容ですよ。
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簿記3級と2級の違いまとめ
簿記3級と2級の各項目ごとの内容は以下の通り。
簿記3級 | 簿記2級 | |
試験範囲 | 商業簿記 | 商業簿記 工業簿記 |
受験料 | 2,850円 | 4,720円 |
受験時期 | 2,6,11月 | 2,6,11月 |
ネット試験有無 | 有り | 有り |
合格率 | 約50% | 約20% |
勉強時間目安 | 60~100時間 | 150~500時間 |
就職市場の価値 | あまりない | かなりある |
独学での 合格可能性 | できる | 可能だが 簡単ではない |
このうち、受験時期とネット試験の有無については両資格に差はなく、
ペーパー試験は毎年2,6,11月に開催され、
ネット試験はいつでもお近くの受験センターで受験可能です。
それ以外の項目については3級と2級で違いがあるので、主な内容について紹介していきます。
違い①:試験範囲
最も大きな違いが試験範囲。
簿記3級 | 簿記2級 | |
試験範囲 | 商業簿記 | 商業簿記 工業簿記 |
簿記3級は商業簿記だけで、
簿記2級が商業簿記と工業簿記なので
工業簿記だけの差かな?
と思われるかもしれないですが、違います。
3級と2級の商業簿記は試験範囲が異なり、
2級には
- 株式(有価証券)の処理
- ソフトウェアの処理
- リース資産の処理
- 外貨建て取引の処理
といった、小さめの上場企業じゃないとやっていないんじゃない?
といった難しめの会計論点も含まれてきます。
容易に想像できないような論点も
結構あります
また、上記のような難しめの商業簿記の論点に加えて「工業簿記」という全く違うジャンルも
試験範囲に含まれます。
商業簿記と工業簿記はどう違うの?
簡単にいうと以下の違いです。
- 商業簿記:一般企業の簿記
- 工業簿記:工場の簿記
商業簿記は全ての会社に適用されますが、
工業簿記はかなり範囲が狭く、製造を行う工場等で使う簿記です。
基本的に会社の経理部の人達が扱っているのは商業簿記の方で、製造業じゃない場合は
工業簿記?なにそれ?
となる人も多いです。
工業簿記は分量としては多くないですが、
商業簿記と全く内容が違うので、
特徴を掴むまで少し苦労します。
以上のような試験範囲の違いが3級と2級にあり、これが最大の違いです。
違い②:合格率
簿記3級 | 簿記2級 | |
合格率 | 約50% | 約20% |
合格率は3級で約50%、2級は約20%なので、
単純に考えて2級の方が2.5倍難しい計算です。
試験範囲の広さ的には
合格率の差は妥当かなという感じですね。
ちなみに合格率は試験ごとに結構バラつきがあり、
今回はとても難しい回だったので、
受けた人は運が悪かったです……
みたいなこともあったりします。
違い③:勉強時間の目安
簿記3級 | 簿記2級 | |
勉強時間目安 | 60~100時間 | 150~500時間 |
難易度の違いがそのまま勉強時間の違いになっています。
勉強時間の目安にバラつきがあるのは、
- 簿記の基礎知識があるか
- 独学するか、専門学校に行くか
といった状況によって変わります。
基本的に独学の方が勉強時間は長くかかる傾向にあるので、
あまり勉強時間は確保できないかも……
といった場合には専用学校を検討することをおすすめします。
合わせて読みたい
>>簿記3級の勉強時間と期間は?合格者250名に聞いた!
合わせて読みたい
>>簿記2級の勉強時間と期間は?合格者185名に聞いた!
違い④:就職市場の価値
簿記3級 | 簿記2級 | |
就職市場の価値 | あまりない | かなりある |
就職活動・転職活動のための資格取得として簿記を勉強する人は多いですが、
- 3級→ないよりはマシ
- 2級→就職できる可能性アリ
くらいの差があります。
2級があれば就職できるの?
できます。
これは私の経験則で言っているのではなく、
経理求人の募集資格を「簿記2級以上」としている会社はかなり多いです。
1級をもっている人だとかなり限られてしまいますし、実際の経理業務を考えると
正直2級レベルでも全然仕事で通用するんですよね。
1級になると会社同士の合併の
会計処理とか勉強しますが、
そんなの経理の人は使わないですからね
なので2級をもっていればかなり就職や転職には有利になります。
3級は就職や転職の観点だと「ないよりはマシ」というレベルで、
簿記3級もってるから採用しよう!
となる企業はないですね……。
勉強の内容的にも「3級の知識があれば経理ができる」というものではないです。
なので就職活動や転職活動を意識して資格を取りたいのであれば、
2級取得を目標することをおすすめします。
違い⑤:独学での合格可能性
簿記3級 | 簿記2級 | |
独学での 合格可能性 | できる | 可能だが 簡単ではない |
独学での合格可能性ですが、
まず3級は独学でも普通に合格できると思ってOKです。
合格率は50%なので
半分の人は落ちてしまいますが、
勉強のやり方を間違えずに
しっかり勉強時間を確保できれば、
独学でも問題なく合格できる資格です。
私も実際に独学で合格しています!
ただ勉強前の準備を怠ると落ちる側の50%に入ってしまう可能性がぐっと上がるので注意しましょう。
3級の独学を始める前にしておくべき準備はこちらの記事を参考にしてください。
合わせて読みたい
>>簿記3級の独学を始める前にすべき3つの準備
次に2級の独学可能性ですが、
「無理ではないがあまりおすすめしない」というのが私の結論です。
なんで?
理由として以下の3つで、
- 勉強時間が余計にかかる
- 合格可能性が下がる
- 専門学校に通っても費用は大して変わらない
特に3つ目の費用面がポイントです。
最近は実績のあるオンラインスクールが結構あって、安価で専門学校に通えるようになっているので、独学するのと費用が変わらないんですよね。
この点について詳しくはこちらの記事で紹介しているので、独学を検討している方は
ぜひ始める前に読んでください。
合わせて読みたい
>>簿記2級の独学を絶対におすすめしない3つの理由
ただ私自身は2級に独学合格してますし、
なるべく費用を抑えたいのであれば独学もアリです。
難しいですが、
独学合格が無理な資格ではないので
絶対に独学したいという方向けに、
2級に独学合格するロードマップを紹介しているので、ぜひこちらの記事を読んでみてください。
合わせて読みたい
>>簿記2級に独学合格するまでの完全ロードマップ
簿記3級と2級の違いは「難易度」
簿記3級と2級の特徴をおさらいしましょう。
簿記3級 | 簿記2級 | |
試験範囲 | 商業簿記 | 商業簿記 工業簿記 |
受験料 | 2,850円 | 4,720円 |
受験時期 | 2,6,11月 | 2,6,11月 |
ネット試験有無 | 有り | 有り |
合格率 | 約50% | 約20% |
勉強時間目安 | 60~100時間 | 150~500時間 |
就職市場の価値 | あまりない | かなりある |
独学での 合格可能性 | できる | 可能だが 簡単ではない |
この中で特に大きいのは違いは試験範囲で、
試験範囲の違いによって2級の難易度は3級よりも上がっています。
合格率20%か……厳しいな……
と思われるかもしれないですが、
「持っていれば就職できる」レベルの資格であることを考えるとむしろコスパは良い方です。
簿記3級と2級、どちらから受験がおすすめか
簿記3級と2級の違いは分かったけど、結局どちらから受ければ良いのかな?
3級と2級の取得の流れは人によりますが、
以下の3パターンに分かれます。
- 着実に3級から受験
- 3級を飛ばして2級から受験
- 3級と2級のダブル受験
どの流れがおすすめかは状況によるんですが、
最終目標が2級の人は、3級を飛ばしていきなり2級から受験も全然アリです。
簿記2級には
「3級がないと受けられない」
といった受験要件はないですからね
3級をスキップして2級から受験することについては、こちらの記事で細かく紹介しているので見てみてください。
合わせて読みたい
>>簿記2級からいきなり受験OKな5つの理由
着実に取得したい人は3級からでも
簿記1級や公認会計士といった
会計系の難易度の高い資格の通過点として3級・2級を受験する場合には、
着実に3級から受験をおすすめします。
3級の論点が1級や公認会計士受験の時に影響することがあるので、
2級まで受験なら困らなくてもその後に苦労します。
結局3級論点も勉強しなくちゃいけなくなるんです
なので最終目標が2級よりも上の資格であれば、着実に3級から受験がおすすめです。
3級2級のダブル受験もできる
3級と2級の試験は同じ日の午前午後に行われるので、
- 午前に3級受けて
- 午後に2級を受ける
というダブル受験が可能です。
割とやっている人います
これは試験日までに余裕がある場合に検討しても良い受験方法です。
どういうこと?
例えば今が3月で、次の6月の試験に向けて勉強を始めるとします。
受験まで3ヶ月あって毎日の勉強時間を確保できると仮定すると、
3級と2級の全ての範囲を勉強することも可能です。
毎日数時間勉強できるなら、
3級は3ヶ月もいらないですからね
上記のようなケースは3級2級のダブル受験はアリです。
逆に、試験まで1ヶ月しかなくて
あんまり勉強時間も確保できない……
みたいなケースは、ダブル受験しても合格可能性が下がるのでやめましょう。
あくまでダブル受験は
「余裕がある人」向けのパターン
と覚えておきましょう
専門学校ではダブル受験もできるように、
3級と2級のセットコースも用意しているので
ダブル受験に興味ある人はそちらを見てみてください。
おすすめのWeb専門学校は
こちらの記事で詳しく紹介しているので見てみてください。
合わせて読みたい
>>簿記2級のおすすめWeb専門学校3校を比較
簿記3級と2級の違いを理解して受験しよう!
似たような資格として紹介される簿記3級と2級ですが、今回の記事で紹介した通り違いが明確な資格です。
簿記3級 | 簿記2級 | |
試験範囲 | 商業簿記 | 商業簿記 工業簿記 |
受験料 | 2,850円 | 4,720円 |
受験時期 | 2,6,11月 | 2,6,11月 |
ネット試験有無 | 有り | 有り |
合格率 | 約50% | 約20% |
勉強時間目安 | 60~100時間 | 150~500時間 |
就職市場の価値 | あまりない | かなりある |
独学での 合格可能性 | できる | 可能だが 簡単ではない |
どちらも独学でも合格も可能な資格なので、
何か資格欲しいなー
という方はぜひ受験を検討してみましょう。
受験を始める前の準備は以下の記事を参考にしてみてください。
準備を怠ると合格可能性は下がりますよ!
それでは。